退職代行業者を選ぶ際に、大切なのはとにかく、さまざまな退職代行業者のサイトを見て、よく比較検討することです。そのときのチェックポイントをまとめてみました。
・ふざけた名前の代行業者
・「円満退職」「即日退職」をうた謳う代行業者
・「業界最安値」との虚偽記載
・期間の明記のない「期間限定料金」
・弁護士と料金を比較している代行業者
・自作のプレスリリースを指す「メディア掲載多数」
ふざけた名前の代行業者
代行業者のなかには、利用者の勤務先をバカにしたような屋号の業者もあります。会社に電話をして、その名前を名乗ったときに、会社側はどういう印象を持つのだろう?と考えると、恐ろしくなります。退職代行業者の真髄は「謝罪と低姿勢」です。謙虚に謝意を示すのがもっともスムーズにことを運ぶ秘訣です。こうした業者はこのいちばん肝心なところが見えていないでしょう。
言うまでもありませんが、業者のサイトやツイッターをパッと見て、日本語やローマ字がおかしなところはやめておきましょう。いろいろな意味で心配です。
「円満退職」「即日退職」を謳う業者
「円満退職」「即日退職」を謳う業者には、あまり誠実さを感じません。誰もが角を立てずに円満に辞めたいとは思うでしょうが、最初から辞めさせる気がない上司であれば、自分の手で退職届を出そうと代行業者を頼もうと不愉快にさせることは避けられません。円満に退職できるかどうかは、やってみなければわからないのです。
また、その日のうちに仕事に着手する「即日対応」はできたとしても、民法の2週間という規定があるものですから「即日退職」を約束することはできません。会社が認めてくれれば即日で籍を抜くこともできますが、依頼の時点でできるかできないかがわからないことを、断定的に書くのは不誠実です。
利用者が誤解する可能性を承知で、わざとわかりにくく書いているのだとしたら悪質です。
「業界最安値」との虚偽記載、期間の明記のない「期間限定料金」
料金に関して、「業界最安値」や、期間の明記のない「期間限定料金」を掲げている業者をおすすめできないのはコンプライアンスの意識が薄いからです。
「業界最安値」を謳っている業者がいくつかあります。これは、商品のサービスや価格が事実と違い、実際より(他社より)も安いとまちがって認識させる「有利誤認」を規制した、景品表示法五条二号違反となります。
こうした業者はネット上にたくさんの広告を出稿していますので、ほかの安価なサービスはなかなか顧客の目に止まりません。そのため「退職代行は儲かる」と思って、安価な値段で次々と参入してきた業者のほとんどは機能していません。
これらの業者はノウハウがないので利用は避けるべきですが、結果として、偽りの広告を出している業者が、「いちばん安いんだ」と誤解されたままになっているのです。
期間限定料金や期間限定サービスも、実質的に期間限定でないにもかかわらず掲示していたら、同号違反の可能性があります。ただ、こちらは「〇月までの予定だったが、記載していなかっただけ」など、なんとでも言い訳できてしまいます。立証は難しく、それだけで「ダメな業者だ、即アウト」とは言えませんが、良識的な事業者であれば、期間を明示するはずです。
業者はたくさんありますので、目先のお得感だけをアピールする業者にわざわざ頼むことはないでしょう。
弁護士と料金を比較している代行業者
法律事務所と料金を比較している業者もやめたほうがいいでしょう。弁護士と代行業者は業務内容が本来異なります。それを理解していないのであれば、あまりにも勉強不足ですし、自分たちのスキルに自信があれば、何かを貶める必要などありません。
その意味で、自社サイトで他社を批判しているところもよくあります。
自作のプレスリリースを指す「メディア掲載多数」
「メディア掲載」が多いなと思ったら、ただの自社発表のプレスリリースをカウントするなどして、あの手この手で、信頼があるように見せようとする業者もいます。「満足度ナンバー1」というキャッチコピーがあったとしても、そのソースはちゃんと確認してください。
ネットの世界では「客観的評価」が当たり前に売買されているのです。顧問弁護士がいなさそうなのに、いると謳っている業者もあります。
「怪しいな」と思ったら、弁護士の名前や弁護士登録番号を聞けばいいのですが、うさんくさいところは、あらかじめ避けるのがいちばんです。