退職代行-辞める本当の理由がわからない会社

会社が、退職代行業者の介入を拒絶しても一切メリットはありません。むしろ、利用してやろうと考えたほうがいいでしょう。代行業者をうまくあしらうことで、退職の本当の理由がはじめてわかります。そうしないのはもったいないのではないでしょうか。

「親の介護のため」、「留学・引っ越しのため」、「友だちと新しい事業をはじめることになった」、「仕事ができなさすぎて申し訳なくなった」人はいろいろな理由で会社を辞めていきますが、少なくない人が本当の理由を隠しています。

退職代行業者は利用者が伝えるように望んだ退職理由をそのまま勤務先に伝えます。しかし、本当の理由は代行業者にもわかりませんし、仮にわかったとしてもそれを伝えようとは思いません。彼らは会社に不満があっても、1日でも早く穏便に辞めるために、トラブルを避けようとするからです。

たとえば、本当の退職理由が「上司によるハラスメント行為」だったとします。このことが会社に伝われば、その上司は注意されて、職場環境は改善するかもしれません。だとしても、この先一生、その会社とかかわるつもりのない利用者にとって、会社の環境がよくなったところで関係のない話です。

むしろ、ハラスメントを告発したと、上司の反感を買って退職手続きがとどこお滞ってしまう可能性が出てきます。上司が処罰されれば憂さ晴らしになるかもしれませんが、その保証もないなか、本当の退職理由を言ったところでメリットは何もありません。

退職代行を使う人は「自分で言えない意気地なしだとあき呆れられ、無責任だと思われてもいいから、スムーズに辞めたい」だけです。だから、本当のことは言わないのです。

しかし本当の退職理由、つまり退職者が抱えていた不満には、会社の問題点が隠れていることがよくあります。辞めていく人の声を聞くことで、改善すべき点が明らかになり、よりよい会社に変えていくきっかけにすることができます。

逆に、辞めた本当の理由がわからないままだと、問題は残されたままです。次の退職者を出すことにもなりかねません。