退職代行は海外にはない、日本独自のものです。「こんなサービスが必要なんて、世界と比べて情けない」と、退職代行を利用する方を批判する人もいます。
仮にそうだとすれば、情けないのは利用者ではなくて、むしろそんな労働環境を作り上げた国と企業のほうだとではないでしょうか。
退職代行利用者の声
「求人情報にあった、未経験者歓迎、仕事は丁寧に教えますなんて、まったくのウソでした。面接で伝えたことが何ひとつ会社に伝わっていなかった。第三者に介入してもらわなければ、給料未払いになったり、退職手続きが遅れる可能性があったので代行をお願いしました。また、会社の悪事を世間にさらしたいという気持ちもありました」
人手不足が深刻で、経営を維持するためになんとか従業員を採用しようと悪い部分は隠し、魅力ばかりをアピールする会社があります。多少、ウソをついてでも採用してしまえばこっちのもの、入社直後に本当のことがわかっても、短期で辞めることには抵抗がある人が多いから、簡単には辞めないだろう。
そんな計算が企業側に働いていないでしょうか。
でも、そのやり方は退職代行によって通用しなくなります。今はまだ、退職代行を使うのは「辞めたい」と言い出せない気の弱い人が中心です。しかし、この先、間違いなく「時間を節約したい」「手間をかけたくない」という人の利用が増えていきます。
まだ今は、周囲の目が気になったとしても、今後、心理的な抵抗はどんどんなくなり、退職代行が当たり前の選択肢となっていくでしょう。
「退職代行はいずれなくなるのが健全な社会だ」という主張はある程度は理解できます。従業員が代行を使って辞めるという可能性を会社が想定しはじめれば、さらに、辞めやすい空気ができていくはずです。
誰もが辞めたいときに辞められる社会が訪れたら、退職代行業者はみんな廃業ですが、それはまだまだ先の話でしょう。