退職代行は「橋渡し役」

勘違いされがちなのですが、退職代行は退職に関して会社と交渉するわけでも、退職の意思を伝達するわけでもありません。退職するという意思を表明するのは本人からの退職届です。

なので、退職代行とは、正確には「退職に関する連絡の仲介」「橋渡し役」ということになります。交渉はしませんが、退職代行という「第三者」がいることで、話をスムーズに進めることができます。

たとえるなら、プールの監視員です。彼らはプールの利用者に事故がないよう見守っているわけですが、いちばんの役割は「そこにいる」ということです。座ってそこにいるだけなのですが、その存在が無茶な飛び込みや危険行為への抑止力となります。

退職代行は言うなれば監視員を派遣するようなものです。監視されているという意識が働くと、人はそうそう、ひどいことができなくなります。「こいつは訴えたりできないだろう」と無茶なことを要求しようとしても、誰かが見ているとそんな気持ちにストップがかかります。

また、第三者にいきなり罵詈雑言を吐ける人はそんなに多くはありません(遠慮なく言ってくる人もいますが)結果、スムーズに退職に至ることができるのです。

また、強く引きとめられている場合も、第三者をはさむことで、「退職したい」という気持ちの本気度を伝えることができます。

退職者の立場に立てば、悩みに悩んでやっと決断したのに、「無責任だ」「考えが浅い」などと責められたら、その先もずっと忘れられない心の傷になってしまうかもしれません。そんな負の感情を抱える状況を避けることができるのも、第三者を介するメリットだと言えます。