退職時の負い目や罪悪感を乗り越える

ここでは、退職するときに感じる「負い目や罪悪感」についてお話します。

どんな時に負い目や罪悪感を感じるのか?

会社を辞めるという選択をした時に、「申し訳ないな」、「迷惑かけてしまうな」という思いが湧いてくるのは、ごく自然なことです。

・長期間勤めた会社や職場に対して感謝や愛着を抱いている
・自分が任されている業務を他の人に任せなくてはいけなくなる
・会社内でのこれまでの評価や報酬に、一定以上の感謝を感じている

このような場合、「辞める」という選択をしたとしても、なかなかその意思表示はできないものです。その根底に、負い目や罪悪感があるからです。勤めた期間が長ければ、それだけ感謝や愛着を抱くものです。しかし、勤務期間が短くても、「せっかく採用してもらったのに、申し訳ないな」という負い目や罪悪感を抱くものです。

また、自己評価が高い場合には、負い目や罪悪感はいっそう大きくなります。
「自分がいなくては、この会社の業務は回らない」
事実はどうであれ、そんなことを思っていませんか?

「自分がいなくては・・・・」という状態なのに、「辞める」ことで会社や仲間に迷惑をかけてしまう。

そんな心理が働き、自己評価が高い人は負い目や罪悪感を感じやすいといえます。そのほか、些細なことでも感謝を忘れないような人も、退職する際に、負い目や罪悪感を感じやすいです。

例えば、会社からもらう給料は、契約によってあなたが会社に提供した時間や労働力、その成果を現金化したもの、とも考えられます。なので、ボーナスや臨時報酬などは別にして、定期でもらう給料に対しては、感謝は必要ないはずです。

しかし、給料をもらえるということに感謝の思いを必要以上に抱いていると、退職する際に、負い目や罪悪感を感じる可能性が高くなります。なぜなら、毎月給料を支払ってくれる会社を辞めることは、悪いことをするような心理になるからです。

退職をする際、よほどのひどい勤務環境でない限り、多かれ少なかれ、負い目や罪悪感を感じる人は多いのではないでしょうか?

その原因は、
・退職という行為を裏切り行為のように感じてしまっている
・職場を離れることで、職場の仲間を見捨てるような感情を持ってしまっている
・感謝すべき相手に別れを告げることが悪いことのように感じている
などがあげられます。

自分を許し、前向きな視点を持つ

では、退職する際の「負い目や罪悪感」をどうやって超えていけばいいのでしょうか?

「じゃあ、悪いことと思わなければいい」そんな風にも感じます。ですが、心理的な壁というものは、なかなか一筋縄で解決、とはいかないものです。そもそも「悪いこととは思わない」と自分にいい聞かせて解決するなら、負い目や罪悪感など、本心では感じていない可能性もあります。

しかし、「きっかけ」さえあれば、心理的壁というものは、意外にあっけなく超えられたりもする時があります。

例えば、あなたが次の例のようなことで、負い目や罪悪感を感じて、「辞める」といい出せないとしましょう。

「これまで一緒に頑張ってきた仲間を見捨てるようで、「辞める」といえない」
この場合、見捨てる=悪いこと、と感じているのでしょう。

仲間は見捨てられると思わない

しかし、そもそもあなたが会社を辞めることは、本当に「仲間を見捨てる」行為なのか?あなたは、それを当の相手、仲間に確認したのでしょうか?

「人の思いは確認するまで不確定」なのです。仲間を見捨てる人がいる以上、仲間に見捨てられる人が存在します。当たり前ですよね?あなたは「仲間を見捨てるようで」と負い目、罪悪感を感じている。

しかし、その見捨てられる仲間はどう思っているのでしょう。

実は、多くの場合「見捨てられる」などとは思っていないはずです。それでもあなたが負い目や罪悪感を感じているなら、仲間にこういうべきです。
「みんな、ごめんなさい。みんなのことを見捨てるようで悪いけど、俺はこの会社を辞めることにしたよ」と。

この方法は、他の理由でも使えます。
「感謝すべき相手を裏切るようで・・・・」という思いから「辞める」といい出せないなら、
「これまでありがとうございました。でも私は〇〇という事情で、この会社を辞めることにしました」と伝えてみましょう。

あなたが罪悪感を持っているのなら、逆に、罪悪感を感じさせる相手がいるはずです。その罪悪感、はたして本当に感じる必要のあるものなのでしょうか?相手はそんなことを思っていないことが多いものです。

要は、「負い目や罪悪感を感じるならば、いっそ、自分のその想いを伝えよう」そうすることで、負い目や罪悪感といった心理的壁が低くなります。謝罪や感謝を口に出すことで、自分を許し、前向きな視点へと切り替えられることでしょう。

キチンと言葉にして相手に伝えてみると、意外と負い目や罪悪感は、あなたのとりこし苦労だったということが多いと気づくはずです。