入社して1か月で辞めるとき、まずは「感謝」と「謝罪」

 

ここでは、入社してから短期間で仕事を辞めるときについてお話します。

例えば、あなたが入社ひと月で辞めることになり、その理由は、「経験の長い前職の業界で自分を評価し、好待遇で迎えてくれる会社が現れたから」だとします。

退職は決めたものの、罪悪感を感じているかもしれません。入社してひと月で辞めるなんて、採用した人事の人だって思ってなかったでしょう。入社してすぐ退社をする場合、感じる心理的壁は負い目や罪悪感だけではありません。批判や非難への恐れをも感じることになります。

・もう辞めるの? 根性なしだな
・社会人として非常識じゃない? 何考えてんの?!
・せめて仕事を覚えてからにしてくれない?
・バカ、アホ
このぐらいは言われると想像がつくわけです。

そんなときは、まず、会社を辞める理由、自分が働く理由を整理してみてください。

たとえばその理由が、
・家族を養うため
・子供の将来のために少しでもたくわえを作るため
・家族が揃った時には、みんなでおいしいものを食べたい
ためだとします。

仕事内容にこだわることもなければ、労働環境にこだわることもない。収入が欲しいだけならば、好待遇の話は、受けるべきものとなるわけです。

「ひと月しかお世話になっていないのに」という罪悪感も、「せっかく雇ってくれたのに」という負い目も、あなたの望みを叶えてくれるものではありません。

ただ、そこはあなたに非がある場面ですが、
まず、「大変申し訳ないのですが」と切り出す。
「実績ある業界から、コレコレこういう待遇でお話をもらいました」
「私としましては、非常に心苦しいところではありますが」
「慣れた業界でもありますし、このような条件は他ではなかなかいただけません」
「採用していただいたことに、本当に感謝しています。しかし、短い期間で本当に申し上げにくいのですが、できるだけ最短で会社を退職させていただきたいのですが」
このように伝えます。

頭の中には、
・同じ条件を今の会社が提示してくれたら退職を保留にする
・罵声や怒鳴り声は仕方なし、目的(収入アップ)のために我慢する
・脅してきたら音声録音していることを伝える
という考えがあるかもしれません。

退職を伝える際には、音声録音をした方がいいでしょう。
・言った、言ってないの問題回避のため
・あまりにもひどいことをいわれた際の保険として
・自分が話した内容の確認のため

ほかに、「会話を録音させてもらいます」と伝えることで、相手が非常識なことをいい出さないようにする防御の役割もあります。

このように、退職を伝える際に、負い目や罪悪感を超えるためには、以下のことが重要です。
・働く目的の明確化
・目的のため以外のことは我慢する、聞き流す、心に留めない
・感謝すべきこと、謝罪すべきことはキチンと伝える

そうすると、上司は、「わかった。残念だけど、仕方ないな」と、退職の意思を受け入れてくれるかもしれません。

重要なのは、感謝や謝罪の言葉を述べつつも、辞めて次へ進むという強い決意です。あくまでも、まずは「感謝」と「謝罪」です。負い目や罪悪感を越え、話を前に進めるためにはこの順番が肝心です。