ここでは、「退職に対する心理的壁を乗り越える」ことについてお話します。
退職に対する心理的壁
退職することを決めたのに、「辞める」といい出せない裏には、どんな壁があるのでしょうか。結論からいえば、次の5つです。
①対人関係への恐れ
②対立の回避
③負い目や罪悪感
④批判や非難への恐れ
⑤自信の不足
①対人関係への恐れ
人間関係が原因で「辞めたい」といえないという心理です。
②対立の回避
「辞めたい」ということで起こる他者との衝突や議論を避けたいという心理です。
③負い目や罪悪感
「辞めたい」と伝えることで、「恩を仇で返すように思ってしまう」、「代替え人員の手配などで会社に迷惑をかけてしまう」というような心理です。
④批判や非難への恐れ
「そんな考えで辞めたいなんて非常識だ!」などと自分の考えを否定されることを恐れるような心理です。
⑤自信の不足
自分の考えに自信が持てずに、「辞めたい」と伝えられないという心理です。
会社を辞める・退職するというのは法的に認められている
法律的には、個人は理由の如何を問わず、自由に会社を辞めることができます。しかし、現実的に、会社を辞めることは、かなりの労力と覚悟が必要でしょう。
確かに、以下の理由で辞めるとちょっと困ります。
・将来のことも深く考えずに退職する
・会社のちょっとした何かが気に入らないから簡単に辞めてしまう
・会社の仕事のことを全く考慮せずに気分で辞めてしまう
しかし、
・何か家庭の事情が変わり勤務継続が難しくなった
・将来のキャリア形成のために転職を考えている
・現在の職場では得られない業務経験を得るために
などの「真っ当な理由」であっても、「会社を辞める」とはなかなかいい出しにくいのが現状でしょう。その理由は、上記のような心理的な壁が存在しているからです。
これらの壁を乗り越えることは、会社をスムーズに退職する近道です。
心理的壁を乗り越えるには
壁を乗り越えるには、それなりの準備というものが必要です。
まずは、
・それぞれ壁がどんなものであるのか?
・自分がどのような壁に阻まれているのか?
・どのような壁に阻まれているのかを知る方法はあるのか?
・その壁を越えるためには、どんな方法があるのか?
を知る必要があります。
そして、そのために「自分が抱える心理的要因」を理解しましょう。あなたが、会社で上司や仲間に、「辞めたい」と伝えようとした時のことを、思い出してみてください。
どんな思いがあなたの頭に、浮かんできたでしょうか?
例えば、以下のような思いがあるかもしれません。
・一生懸命指導してくれた先輩たちに申し訳がない
・今日まで一緒に働いてきた仲間たちを裏切るようで心苦しい
・自分は、今のままでも充分幸せなんじゃないかな?
・能力があまり高くない自分に毎月給料を払ってくれる会社への恩を仇で返すようだな
・自分を評価し、成長できるような仕事を与えてくれた上司には「辞める」なんていいづらい
こんな思いが邪魔をして、「辞める」ということをいえず、そして、この「思い」が心理的要因であるでしょう。では、この例で出した「思い=心理的要因」は、心理的壁のどれに当たるのでしょうか?
・一生懸命指導してくれた先輩たちに申し訳がない
→③負い目や罪悪感
・自分は、今のままでも充分幸せなんじゃないかな?
→⑤自信の不足
こうして順番に考えていくことで、あなたが「辞める」といい出せない原因を探り、その障壁に対処していくことが可能となります。ポイントは、「自分の思いを掴むこと」です。なんでもそうですが、原因は自分の中にあることが多いものです。
他のおすすめ方法
他には、以下のような方法もおすすめです。
・日記を書いてみる
自分が対面した出来事に対して、どんな思いを感じたのかを書き綴る
・過去の経験を振り返る
自分が何かの決断をするときに、何を判断材料にしてきたのかを掴む
・友人や家族との会話から、自分がどんな人間なのかを掴む
近しい人からの評価は、あなたがどんな人なのかを知る大きなきっかけをくれる