退職したいと考える人の中には、「辞める」と言い出したら、人間関係が悪くなるのではないかなどと悩んで、中々言い出せない方もいます。ここでは、その壁を乗り越える方法についてお話します。
辞めると言えない人の心理的壁
例えば、少し気が弱い人の場合、退職を言い出したい時に、以下のような心理的壁が生じるかもしれません。
「辞める」と伝えることで、
・怒られるのではないか?
・辞めないように説教されるのではないか?
・何時間にも渡り、話し合いが必要になるのではないか?
その結果、上司や仲間といい争いになってしまうのではないか、などと考えてしまうのです。そして、「辞める」といい出しにくくなってしまいます。
このような心理的壁が、他者との衝突を避けるために、「辞める」ということを後回しにしてしまうのです。もちろん、他者との衝突はだいたいの場合、「イヤな気持ち」になるものです。その「イヤな気持ち」を避けたいという心理は、当然であるともいえます。
そして、「辞める」ということを保留にすることで、「イヤな気持ち」の原因となる衝突を回避して、一時的には良い状態が保たれることになります。
しかし、このままではいつまでたっても、「辞める」とはいい出せません。
衝突を解決する方法
それでは、この衝突を解決する方法を考えてみましょう。
解決方法として、「辞める」という意思表示をしても、衝突が起きなければいいわけです。または、衝突が発生することを、むしろ歓迎する状態であればいいともいえます。
そのためには、次のような方法があります。
・まずは、これまでの関係に感謝を述べる
・自分の退職が前向きなものであるならば、前向きな気持ちをきちんと伝える
・逆に、退職理由が会社を批判するようなものである場合は、批判的な言葉や態度は避けるようにする
・「お前がなんといおうと、俺は絶対辞めてやる」というような物いいは避け、あくまでも「話し合う」という姿勢でのぞむ
これらの方法や態度は、「お互い腹を割って話し合いましょう」という状況を作るために有効です。
衝突が起きやすい状況を避ける
それから、衝突が起きやすい状況を避けるべきです。
例えば、
・「辞める」ことを伝える相手である上司が忙しい時間帯を避ける
・大きな人事異動の発表後は避ける
・会社の業務の繁忙期は避ける
などです。
これらの状況は、たとえいい争いをしようと思っていなくても、ついイライラしていい争いに発展しやすいからです。
例えば、「辞める」と伝えたタイミングが、社内で大きな人事異動が発表された直後だとします。そのような状況の中で、あなたが上司に「辞めたいんですけど・・・・」などと言い出したとき、上司はそれどころではない、ガラッと変わった社内の人員配置に対応、人事異動の対象者のケア&フォローで忙しい。
「ふざけるな!状況を見てものをいえ!」と怒鳴られるかもしれません。
このような状況は避けるべきです。
また、衝突回避への対策は、退職後の人間関係にも影響します。なぜなら、衝突の発生は、そのまま対人関係の悪化につながるからです。例えば、「この忙しい時に辞めるなんていいやがって!」という感情が、衝突を産みます。そして、同時に、「あんなふざけたやつだとは思わなかった!あいつとの関係もこれまでだな」と、人間関係の変化につながってしまうからです。