退職代行を依頼する前に、以下の点をクリアにしておくとスムーズに手続きが進みます。
1.正しい勤務先はどこか
2.勤続年数は何年か
3.期間の定めがある雇用契約かどうか
4.私物の整理と貸与品の有無
1. 正しい勤務先はどこか
「正しい勤務先を知らない人なんているの?」と思うかもしれませんが、実は最近こういった方が増えています。
例えば、システムエンジニアの方は出向で客先に常駐して働くことも多く、実際にどこが自分を雇用しているのかがわからなくなることがあるんです。名刺には子会社の名前が書いてあるものの、雇用は親会社というケースもありますので、確認しておいてください。
一番簡単に正確な勤務先を知る方法は、給与明細や健康保険証を確認することです。
2. 勤続年数は何年か
勤続年数がわかると、有給休暇の日数がわかります。有給休暇を全て取得していない場合は、残った有給休暇を申請することができます。なお、退職を通知してから有給休暇を申請しても、実は認められる場合があります。
3. 期間の定めがある雇用契約かどうか
退職代行サービスを利用する際にとても重要なのが、「期間の定めがある雇用契約かどうか」です。
「1年契約」や「6か月契約」のように、契約期間に定めがある雇用契約の場合は、退職に関する民法の規定が異なります。
契約期間に定めがない雇用契約の場合
期間の定めのない雇用契約の場合は、解約の申し入れから2週間を経過すれば、雇用契約が終了(退職)します(※民法627条1項)。
期間の定めがある雇用契約の場合
一方で、期間の定めがある雇用契約の方は、一般的な正社員のような期間の定めのない働き方よりも、退職に関しては若干不利になってしまうのです。契約期間が定められている場合、労働者側から退職を申し入れるには、「やむを得ない事由」が必要とされています(※民法628条)。
やむを得ない事由がなくても、当事者同士が合意すれば、期間満了前に退職することもできますので、弁護士に相談してみましょう。
4. 私物の整理と貸与品の有無
民間の業者はもちろんのこと、弁護士でも対応が基本的にできないのが、「私物の整理や貸与品の返却」です。前もって私物の整理は自分で行っておくと、退職通知後に会社に行かずに済みます。仲の良い同僚や上司が職場にいる場合は、彼らに整理して送ってもらえるときもあります。
とはいえ、私物を確認されるのは抵抗があるという方は、退職代行を頼む前にできる限り私物を持って帰っておきましょう。私物を持って帰り忘れたけれど、二度と会社に行きたくないという場合は、日当や交通費を支払って、取りに行くこともあります。
また、会社から貸与されているロッカーの鍵や会社の鍵、制服などは返却しなければなりません。返却をしないと、場合によっては費用を請求される恐れがあります。
ただし、直接手渡すのではなく、配達の記録が残る郵送方法(簡易書留等)で発送するなどの方法でも、貸与品の返却は可能です。
これは、後になって会社から「鍵が返ってきていない」などと言いがかりをつけられないように間違いなく返却したことを記録として残しておくためにも有効です。