退職代行利用-未払い残業代の請求

退職代行サービスを依頼する方の多くが、「残業代の未払い問題」を抱えています。そもそも従業員の方が自分で退職を言い出せない会社の中には、「ブラック企業」と呼ばれるような劣悪な労働環境の企業が多く存在しますので、残業代を支払っていないケースも多いのは当然といえば当然です。

民間の退職代行業者は企業側と交渉ができないため、残業代請求はできません。

一方、弁護士は残業代の請求が可能です。ですから、必ず「未払いの残業代があるかどうか」だけでも把握しておいてください。

悪質な会社では従業員に残業代を全額支払っていない場合があります。「残業時間は60時間で切るように」というように指示をだして、実際の残業代よりも少ない金額しか残業代を支払っていないケースです。

また、端数が切られている場合もあります。本来は1分単位で支払うべきですので、切り捨てられた残業代を請求することができることも覚えておいてください。

なお、残業代は正社員かパート・アルバイトを問わず、法律上の要件を満たせば支払わなければならないとされています。よく「管理職だから残業代を支払わない」としている会社がありますが、労働基準法で残業代を支払わなくて良いと規定してあるのは「管理監督者」です(※労働基準法41条2号)。

管理監督者の範囲については、厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署が作成したパンフレットで下記のように明確に指定されています。

・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること

・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること

・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること

・賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

経営の方針を決定するような役割を担っていることや、その業務が通常の勤務時間以外にも発生すること、他の社員と比較すると十分な報酬を受け取っていることなどが管理監督者の要件となります。

したがって、「係長」や「課長」などの役職があるからといって、管理監督者に該当するとは限りません。企業の規模にもよりますが部長でも、管理監督者ではないとみなされる場合がありますので、管理職で残業代請求を諦めている方も、退職代行と同時に相談してみると良いでしょう。

また、「みなし残業(固定残業代制度)」だから、残業代が支払われないといわれている場合も、残業代の請求ができるケースは多数あります。就業規則にみなし残業時間が規定されている場合も、みなし残業時間を超えた分は残業代の請求が可能となります。

退職代行と残業代請求はセットになることが多いので、未払い残業代がある場合は、退職代行と合わせてご依頼ください。その場合は以下のような残業をしていたことを証明できる証拠が必要となりますので、確保するようにしておいてください。

残業代請求の際に役立つ証拠

・タイムカード
・パソコンのオンオフのログ
・セキュリティシステムのセキュリティがオンになった時間
・交通系ICカードの記録
・業務連絡のメールやLINEの履歴

証拠の確保が難しい、全く証拠がないという方も全く対応ができないというわけではありませんので、ぜひ弁護士にご相談ください。